2013年2月21日に愛知大学国際問題研究所にてワークショップ「淨圓寺・鳥居観音史料から見る近代日中関係」が開催されました。ワークショップには当職員も参加し、鳥居観音所蔵史料について東京女学館大学の教授と一緒に壇上に立つ機会を得ることができました。
鳥居観音は戦時期中国で活躍した曹洞宗僧侶の水野梅暁氏と縁があり、その関係で鳥居文庫には水野禅師から寄贈された遺品および中国の重要人物の書画文献数百点が収蔵されています。ワークショップをきっかけに、当職員の一人が愛知大学国際問題研究所客員研究員に選ばれ、大学、各教育機関の先生方と連携をとって、資料調査をすすめています。
【鳥居文庫にて史料調査作業】
これらを整理することで鳥居観音に大きな影響を与えた水野梅暁氏の人物像がみえてくるのではないか、また水野禅師と親交のあった鳥居観音開祖・平沼彌太郎や鳥居観音に関し、もう一度見直すきっかけになるのではないか、と考えています。そこからは歴史に埋没した近代日中関係や時代背景も見えてくるのではないかと思います。
【膨大な史料の一部】
ワークショップの後、二度の資料調査を行っております。
現在も調査中ですが、今後も実際の史料調査作業の経緯を含め、このブログにてご報告していきます。
【水野梅暁氏 写真】
※水野梅暁(みずの ばいぎょう)略歴
明治10(1877)年1月2日生まれ。広島県出身
昭和24(1949)年11月21日死去。73歳
雑誌「支那時事」主催
支那時報社設立(大正13(1924)年)
日満文化協会理事
東亜仏教大会役員
著作「支那仏教の現状について」など
明治時代に愛知大学の前身である上海東亜同文書院に学ぶ。
後に曹洞宗開教師となり、湖南省長沙において、僧学堂『雲鶴軒』を開設。(のち本願寺派)
中国の文人墨客と交わり仏教の布教に従事。
外交家・ジャーナリストとしても、孫文・蒋介石といった革命派の人物や清朝最後の皇帝、溥儀など中国要人と広く交流。
玄奘三蔵法師の霊骨を日本仏教徒を代表して中国国民政府から分贈され、仏教を通し親交のあった鳥居観音にそれを寄贈した。鳥居観音には玄奘三蔵法師霊骨慰霊塔(三蔵塔)が建立され、現在に至る。